第5回APIEMS 2004 (Asia-Pacific Industrial Engineering and Management Systems Conference)に参加して

北海道大学情報科学研究科
川村秀憲

12月12~15日にオーストラリア・ゴールドコーストの全日空ホテルで 行われたAPIEMS 2004という国際会議に参加してきました.この会議には,アジア太平洋地域を中心とした300名近くの研究者が参加し,インダストリアルエンジニアリン グとマネジメントシステムに関する最新の研究成果の発表が行われました.私が発表したのは,大内会長がオーガナイズした観光情報に関するセッションです. セッションには,北海道大学の長尾先生の「GPSログマイニングに基づく個人間こう行動調査に関する研究」,北海道情報大学の斎藤先生による「北海道野外 彫刻ウェブの開発」,そして私の「携帯電話によるメールをベースとした予約調整システムのマルチエージェント分析」についてそれぞれ約15分程度の英語の 発表を行い,海外研究者と意見を交換しました.事前の準備不足による手際の悪いプレゼンにもかかわらず,活発に議論を行うことができました.参加した研究 者は,我々日本と,オーストラリア,韓国,アラブなど様々な国の研究者であり,みな観光情報という分野に大変興味を持っているようでした.

発 表の終了後は,大内会長をチェアとして,参加者それぞれの観光情報に関するフリーディスカッションを行いました.その中では,携帯電話や GPS,GIS,PDAといった情報システムの利用,インバウンドの問題など観光情報学会ですでに研究テーマとして取り組んでいることが共通話題としての ぼり,世界的な状況を鑑みても観光情報学という学問分野の立ち上げの重要性を再認識させられました.また,各国の大学における観光学科の状況にも話が及び ました.オーストラリアや韓国などの大学でも観光学科を持っているところはあるものの,観光が教育や研究の重点対象として確立しているところはまだあまり なく,今後の重要性が認識されられました.「このセッションはアジア・太平洋地域のインダストリアルエンジニアリングにおける観光情報学のオリジン(源 泉)である」という大内会長の宣言の後,活発な議論を終えました.

学会のあき時間には,ゴールドコーストのサーファーズパラダイスの海岸 などに散歩に行きました.まだクリスマスホリデーシーズン前と言うこともあって,割と人でも少なく,真夏の海岸線の美しさを堪能することができました.海 岸で一番驚いたのは,ゴミの少なさです.あれほど人手がある海岸でもゴミなどを見かけることはほとんどありませんでした.砂は鳴き砂で,歩けば「きゅっ, きゅっ」といった音がし,環境保護と観光資源がほどよくバランスされているということに感心させられました.観光ダイビングなどによる珊瑚の保護などまだ まだ環境保全には課題を残しているそうですが,観光を産業として大事に育てている姿勢が感じられました.

残念ながらビーチで泳ぐ時間はありませんでしたが,観光情報学という新しい研究分野の国際的な重要性の認識と,観光産業のあるべき姿の一つのお手本にふれ,観光情報学に対する研究意欲を再燃させつつ,また寒い冬の札幌に戻ってきました.

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