ルポ 観光情報学会 第2回全国大会 特別講演2「観光学ー複雑系工学の視座ー」

北海道工業大学情報デザイン学科 助教授 三田村 保

北海道情報大学副学長の嘉数侑昇氏が「観光学ー複雑系工学の視座ー」というタイトルで以下の内容について講演されました。

複雑系工学とは、変動を続ける地球上で、生命体誕生以来種個体保存,種の保存を行ってきた生物の生き残り戦略に倣って、厳しい環境中でもちゃんと生き残 れ、機能するような、人工物の創りかたに関する研究分野といえる。その対象となる人工物として「人間系」がもっとも複雑で制御しにくい。

観光学を複雑系工学の視点から考察すると、旅行者であるクライアントに対して観光業者であるサーバが顧客満足度評価基準の下に利潤を最大化可能なモデルを 構築することとなる。ただし、社会的・経済的環境に直接影響を受け、変動する環境中でいかにしてサーバが持続的、発展的に生き残れるかが課題となる。

複雑系工学から得られた知見によれば、優れたエージェント群の導入が各種課題を解決する場合が多い。IT(情報技術)は人間のすべての社会活動において生 じるエントロピー増加量を最小限化し得る唯一の工学技術であり、資源の有効利用技術として利用可能である。課題を解決するためにはITの導入は必須であ り、その全体構造としてオンデマンド・ビジネスを実現するためのWebサービスをベースにしたSOA(Services Oriented Arch itecture)のコンセプトが参考になる。

観光業者の生き残り戦略としては地域内の業者間で互いが運命共同体としての一体感を醸成 し、観光プラットフォームを創設することが重要である。そのなかで、ITを活用することによってコスト削減、資源の有効活用を行い、全く新しい形態の企業 (集合体)を創ることが望ましい。

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